_____服薬情報等提供料の積極的な算定にあたり、その背景を教えてください。
最寄りの医療機関である南和広域医療企業団 吉野病院さまが積極的に残薬削減に取り組んでいることが大きいですね。系列の医療機関(4施設)でも「服薬情報提供書」を利用した残薬調整方法の取り決めがなされています。我々薬局がしっかりと残薬の実物を確認することから始まります。

_____取り組み始めたときの失敗談があれば教えてください。
大量の残薬を持参された場合、もらった時期も薬品名(同成分の先発品と後発品が混在)もバラバラで、残数をきちんと把握するだけもかなりの時間が必要でした。その日のうちに残薬調整を行わねばという思い込みもあり、大量の残薬を持参した方でも、その場で残数を確認した後、処方日数を調整していました。当然待ち時間はとても長くなり、患者さまにとっても私たちにとってもかなりの負担になっていました。今ではそういう場合、一旦残薬をお預かりし、次回来局時にお渡しできるようにしています。
_____やってみてよかったと思う事例がございますか。
70代の女性で、芍薬甘草湯を開始後1か月ほどで血圧が180くらいまで上昇し、K値減少と顔の浮腫みを認めた方がいらっしゃいました。偽アルドステロン症による血圧上昇を疑い情報提供したところ、次回処方より芍薬甘草湯が削除となりました。このような副作用の回避例はもちろんのこと、一包化の提案、導入後に「とても飲みやすくなった。」と言っていただけることも多いです。また、服薬を管理するご家族からお礼をいただくことも大きな励みになります。情報提供の効果を実感するとやってよかったと思います。
_____残薬のことを相談しづらい患者さんにはどのようにお話されますか。
たしかに主治医に言いにくい患者さんはおられます。「先生に直接言いにくい場合はこちらに残薬を持参してくださいね。」とお話しして、薬局を相談の起点にすると皆さんそれほど抵抗は感じないようです。
_____「服薬情報等提供料」について、今後薬剤師になる薬学生へアドバイスをお願いします。
ご高齢の方で、長い期間同じ主治医におかかりの方は、同一の処方が継続されるケースが多く、先生も“きちんと飲めている”と判断されることが多い印象です。服薬管理に不安のある方で、用法変更や剤形変更、一方化の提案で改善が期待できる場合は、積極的に情報提供書を作成し処方医へ情報提供を行ってみることです。