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腎臓病療養指導士へのチャレンジ

たんぽぽ薬局 守山いつき病院前店 薬局長 田中 得眞

なぜチャレンジしてみようと思いましたか?

現在勤務している店舗で透析の処方箋を応需するかもというお話を頂き、自己研鑽として何か透析や腎臓病に関連する資格はないかと探していました。
ちょうど会社の資格支援制度で腎臓病療養指導士というのが目に止まり、きっと役立つのではないかと思いチャレンジしました。
そんな折、在宅の患者さまが透析導入の一歩手前になったことも、資格を取ろうという後押しになりました。

腎臓病療指導養士(CKDE)とは?期待されている事は何だと思いますか?

腎臓病療養指導士は次のように定義されています。
「CKDとその療養指導全般に関する標準的かつ正しい知識を持ち、保存期CKD患者に対し、一人ひとりの生活の質および生命予後の向上を目的として、腎臓専門医や慢性腎臓病に関わる医療チームの他のスタッフと連携をとりながら、CKDの進行抑制と合併症予防を目指した包括的な療養生活と自己管理法の指導を行い、かつ、腎代替治療への円滑な橋渡しを行うことのできる医療従事者」

対象となる職種は、看護職(看護師、保健師)、管理栄養士、薬剤師の3分野です。標準的なCKD療養指導を全国各地に普及させることが目的のため、各領域の専門資格取得に必要とされるような高度な専門性は要求されていませんが、CKD療養指導に必要な基本的、標準的な知識と技能については、自身の職種以外の領域に関する内容も求められます。

これにより、医師のもとでCKD患者の基本的な療養指導を1人で行うことが可能になるため、個々に合わせた療養生活支援を継続的に行っていくことが求められています。

もし以前の自分に今の知識があればと後悔すること、勉強したことが活きた事例があったら教えてください。

外来から在宅対応となった患者さまがおり、同時にケアマネジャーから透析一歩手前だったという事を知らされました。
そして2か月後には事前シャント(※1)の作成までして、あと半年後には透析かもという状況になりました。
その時、ちょうど資格取得のため勉強していた時期と重なったため、訪問する度に服薬管理だけでなく、生活指導や栄養指導など腎臓病療養指導士取得のため学んでいたことを活用し療養指導を行いました。
その結果、その方は半年以上経った今でも透析導入には至っておらず、腎機能も少し改善し維持できている状態です。

このような経験をし、今は透析導入を遅らせる事ができており、良かったと思う反面、外来の時から服薬指導だけでなく、もう少し早い段階で食事療法などのサポートを行っていたら、もしかしたら事前シャントの作成などせずに済んだのでは、と思うこともあります。

※1:血液透析を行う際、充分な血液量が確保できるように、動脈と静脈を体内または体外で直接つなぎ合わせた血管の事

これから目指したいことは?

腎臓病療養指導士は2018年4月にスタートした制度で、2028年までに新規透析導入患者数を年間3万5000人以下に減少させる(2016年:3万9344人)などを目標にしています。

薬局薬剤師として地域医療に貢献できる環境にあるため、地域コミュニティでの講演や薬局からの情報発信などによるCKD対策や受診推奨を行い、CKD患者の生活の質や生命予後の向上に療養できるようなサポートをしていきたいと思っています。

後輩薬剤師へのアドバイスをお願いします。

現在、慢性腎臓病の方は約10人に1人いるとされています。
薬局に来られる方の中には少なからずそういった方がおり、サポートが必要な場合があります。
その際、薬の事だけでなく、看護師や栄養士の知識を持った薬剤師がいれば患者さまは安心して相談できるのではないでしょうか。

また、薬局ではかかりつけ薬剤師といった制度もあるため、継続的に親身なサポートをすることも可能です。
薬局はこれから患者様に選ばれる時代になってきます。そうなった時、患者様に貢献できる資格を取得しておくのも選んでもらえる一つの方法だと思います。
今回少しでも興味を持たれた方がいましたら、ぜひ一度「腎臓病療養指導士」と検索してみて下さい。