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服薬期間中の電話フォローで患者さまの不安を解消

稲生 翔太
八事日赤前店
2019年入社 鈴鹿医療科学大学卒業

改正薬機法で示された服薬期間中のフォローの義務化。
たんぽぽ薬局では患者さまの服薬期間中に電話でのフォローを実施し、ヒアリングした内容をトレーシングレポートにまとめて医療機関へ情報提供しています。
今後の薬局に必須の機能として、3年目の先輩薬剤師に取り組み内容を聞いてみました。

どういった方に服薬期間中のフォローを提案しますか?

抗がん剤、インスリン注射、吸入薬が開始になった患者さまが多いです。
初回の患者さまは多くの不安を抱えています。
抗がん剤であればさまざまな副作用、インスリン注射であれば低血糖などの副作用、吸入薬であればデバイスの操作などです。
服薬期間中にフォローすることによって不安を解消して、患者さまのお役に立てればと思っています。

服薬期間中のフォローと病院連携について

抗がん剤服用中の患者さまを電話フォローをした際、顔に水疱ができていました。
好中球減少による、帯状疱疹を疑い聞き取りをしましたが、結果的に帯状疱疹ではない可能性が高いと考え、受診勧奨ではなくトレーシングレポートによる情報提供をしました。
万一帯状疱疹だった場合、早期に治療することが大切ですので、服薬期間中のフォローによって早期に発見できるメリット、トレーシングレポートによって病院側にも患者さまの状態を知っていただけるメリットを感じました。

服薬期間中のフォローで心がけていることは?

2点あります。
1点目は、フォローのタイミングです。
抗がん剤のフォローでは、いつどのタイミングで副作用がでやすいかある程度わかっています。
例えば、悪心嘔吐は服用3、4日目にでやすいので、4日目にフォローをします。
これが1週間後ではベストなフォローができません。
2点目は、患者さまの役に立つアドバイスをすることです。
実際の事例ですが、4日目にフォローをしたところ悪心嘔吐が辛くてしんどいとのことでした。
悪心嘔吐は7日目くらいには治まることをお伝えしました。
後日来局された際、「あの時は本当につらかったですが、光が見えました。ありがとうございます。」と仰られました。
服用中止や減薬提案などの具体的な対策ができない時でも、薬剤師として患者さまの役に立つことができると感じました。
ただし、こういった対応をするためには知識が必要で、私も現在薬局長にいろいろアドバイスをいただいて勉強中です。

服薬期間中の電話フォローと薬局窓口での服薬指導との違いはありますか?

電話でのフォローでは、実際に起こっている副作用や不安を聞き取りすることが出来ます。
例えば、抗がん剤を使用していて、手のしびれや痛みがあるが在宅ワークでパソコンを使っている。
この症状はいつまで続くのか、少しでも和らげるにはどうすればいいのか等です。
こちらも具体的なアドバイスができるので患者さまの役に立てる割合が大きいと思います。
また、日常生活の話までできるので、患者さまとの距離も縮まり、次回の服薬指導の際にも、より的確な指導が可能となります。

服薬期間中のフォローで求められる役割や今後の期待

実際に抗がん剤のフォローをして、複数の副作用が頻繁に起こり、患者さま自身も不安や悩みを抱えておられることを痛感しました。
病院を受診する時間、薬局にお薬を取りに来られる時間より日常生活を送る時間の方が圧倒的に長いです。
そこに介入することで、患者さまの日常生活の質をあげて、よりよい医療を提供していけると期待しています。