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管理栄養士コラム「秋の食材~さんま~」

管理栄養士コラム「秋の食材~さんま~」

今回は「さんま」を取り上げます。
さんまは漢字で「秋刀魚」と書くように、秋に旬を迎える魚です。夏の間は北上して冷たい海で過ごし、秋になると産卵などのために南下してきます。さんまは水温が冷たくなるにつれて身体に脂肪を蓄え、この脂肪がさんまの美味しさに繋がります。その脂が一番のっている旬の時期は9〜10月と言われています。昔から栄養価が高いことで有名であることから「さんまが出ると按摩(あんま)が引っ込む」ということわざがあります。これは脂の乗ったタンパク質が豊富なさんまを食べることにより、体の怠さが解消されて食欲が増し、按摩の世話にならずに済むという意味です。

★栄養素
さんまの主な栄養素は「タンパク質」「DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)」「ビタミンB12」「鉄分、リン、カルシウムなどのミネラル類」です。タンパク質は三大栄養素の一つで、筋肉や血液が作られる際に必要な栄養素です。毎日活動する上でのエネルギー源にもなっています。DHAやEPAはオメガ3脂肪酸の一種で身体に蓄えられた脂肪です。DHAは脳の神経を活性化して記憶力の向上などの効果があり、EPAは血液をサラサラにする作用によって動脈硬化を防ぐため、心筋梗塞や虚血性心疾患の予防効果が高いと言われています。また、ビタミンB12は水溶性ビタミンの一つで、ヘモグロビンが作られるのを助ける働きがあります。通常であれば不足しにくい栄養素ですが、ビタミンB12が不足すると赤血球の数が減り貧血になる恐れがあるので注意しましょう。最後に鉄分やリン、カルシウムといったミネラル類です。鉄分は不足すると貧血の原因になります。リンは筋肉や神経の働きを保ち、歯や骨の構成成分にもなります。カルシウムも歯や骨を作るための重要な成分となるのでしっかり摂ることが大切です。

★選び方と保存
新鮮なさんまの選び方のポイントは「あご先が黄色く、丸々と太っており、目が透明なもの」です。鮮度の良いさんまは下あごの先端が黄色く、日にちが経つにつれて茶色に変わるため見分けがしやすいです。また頭から背中にかけて膨らみがあるものはよく脂が乗っており、魚は鮮度が落ちるにしたがって黒目の周りが濁ってきます。その為、丸々としている目が透明なものを選ぶと良いでしょう。
保存方法としては冷蔵保存・冷凍保存の2パターンあります。冷蔵保存する場合、内臓が付いたままだと傷みやすいので、すぐに食べない時には内臓を取り除いて水できれいに洗いましょう。キッチンペーパーでしっかりと水気を取り、袋に入れてチルド室で保存します。保存目安は2、3日です。冷凍保存の場合は、冷蔵と同じく内臓の処理をして頭は切り落とします。一尾ずつラップで包んで重ならないように並べて保存します。空気を抜くようにして包んでおくことがポイントです。保存目安は2~4週間です。

★調理方法
塩焼きとして食べることが多いさんまですが、蒲焼きや南蛮漬け、新鮮な状態であればお刺身も美味しいですよね。さんまの塩焼きに添えられる大根おろしは、味だけでなく栄養価の相性も良いのです。大根にはアミラーゼやジアスターゼなどの消化酵素が多く含まれています。その為、脂が多くのったさんまを食べるときの胃腸への負担を和らげ、胃もたれを予防する効果が期待できます。また、さんまに含まれるDHAとEPAは加熱にとても弱く、火に通すと栄養を損失してしまいます。さんまの栄養素を余さず摂るには、お刺身や丸ごと調理、煮物にして汁ごと食べるなどがおすすめです。

(RDチーム委員会 中山映美)

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