管理栄養士コラム「秋の食材~梨~」

今回は「梨」を取り上げます。
シャリシャリとした食感と、みずみずしくさわやかな甘さが特徴の梨は、夏から秋にかけて食べたくなる果物の一つです。梨特有のシャリシャリとした食感は、果実に含まれる「石細胞」によるものです。「石細胞」とは、果実を守るための細胞壁が木のように硬くなったもので、果物の皮の部分に多く含まれています。しかし梨の場合は、皮だけでなく果肉の中にも「石細胞」が含まれているため、他の果物にはない独特のシャリシャリ感が楽しめるのです。

★栄養素について 
梨にはビタミンC、カリウム、食物繊維、アスパラギン酸など様々な栄養素が含まれています。ビタミンCには、紫外線からのダメージを軽減し、シミやそばかすを防いでくれる働きがあります。またカリウムには、体内の余分なナトリウムの排出を促してくれる働きがあるため、塩分の摂り過ぎによる高血圧や、むくみの予防にも役立ちます。食物繊維には、便通改善・腸内環境を整える効果が期待できます。アスパラギン酸はアミノ酸の一つであり、疲労回復効果があると言われています。

★選び方と保存
全体的に丸みを帯びていて、同じ大きさでも重さがあるものを選びましょう。
固い梨は常温で追熟させることができますが、完熟して食べ頃になったら冷蔵庫の野菜室での保存がおすすめです。キッチンペーパーで包みビニール袋に入れて封をすると、みずみずしさを保ちながら保存することができます。保存期間の目安は約1週間です。
冷凍保存する際はお好みで皮をむいて芯を取り、食べやすい大きさに切ったら、保存袋に重ならないよう平らに並べて入れて空気を抜き封をして冷凍庫で保存しましょう。保存期間の目安は約1ヵ月間です。金属トレーを敷くと早く温度が下がるので鮮度を保つことができます。酸化による変色を防ぐには切った後に一度レモン水に浸けてから軽く水気をふき取り冷凍するとよいと言われています。

★調理方法
梨の皮には、食物繊維やポリフェノールなどの栄養素が豊富に含まれています。そのため、皮ごと食べるのがおすすめです。ただし、皮には農薬が付着している可能性があるので、よく洗ってから食べるようにしましょう。
また梨には、たんぱく質分解酵素であるプロテアーゼが含まれています。そのため肉を梨の果汁に浸してから加熱調理をすると柔らかくなると言われています。そのまま食べるだけでなく、すりおろして肉を調理する際に使用してみてはいかがでしょうか。

管理栄養士 山 雛代

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